第2回『このラノ』大賞 特別審査委員 栗山千明さん選評

特別選考委員 栗山千明

栗山千明
昨年度に引き続き、第2回このライトノベルがすごい!大賞の特別選考委員として参加させていただき、ありがとうございます。そして栗山千明賞を今年も設けていただけて大変光栄に思います。誠にありがとうございます。今年も世に出る前の作品をいち早く読ませていただけて、とても嬉しいです。一素人である私が選考委員というのは誠に恐縮ではありますが素人目線の素直な感想を述べさせていただきました。

栗山千明賞『美少女を嫌いなこれだけの理由』 遠藤浅蜊
(応募時タイトル:『B級少女』)

不思議な『美少女』という存在が、政治や学校生活などのリアルなところにもちゃんと反映されている設定、そしてキャラクターの濃さも面白かったです。冒頭には想像出来なかった後半のアクションシーンにも美少女の特性が活かされていたり最後の最後のオチも含めて1番予想出来ない作品でした。
どの作品も、それぞれの色があり面白く読ませていただきましたが、私の名前が付く賞には、個性や奇想天外さの際立った作品が良いと思っていたので、この作品に栗山千明賞を贈ることが出来て嬉しく思います。また、いろんな美少女に出逢える機会を作っていただきたいです。

大賞『モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)』 谷 春慶
(応募時タイトル:『ウーマナイズ・ジェネレーター』)

最初、主人公(望月)のような軽いノリの人って居そうだなと思いました。
そして正直そんな軽い感じの主人公に好感をもてませんでした。しかし読んでいくにつれて主人公が格好良く見えたりいい人に見えてくるから不思議。回想シーンと織り交ぜながらのストーリー展開が1人1人のキャラクターに深みや重み、可愛いさも引き立たせてくれたと思います。

優秀賞『ドS魔女の×××』 藍上ゆう

エッチな表現が多いので男の子向けなのかなと思いながら読みましたが、読み終えてみると人間を嫌っていた魔女が実際に色々な人間の悩みと向き合い接することで人間の良さを知るというストーリーだったのだと分かりました。

優秀賞『僕と姉妹と幽霊(カノジョ)の約束(ルール)』 喜多 南
(応募時タイトル:『恋色ゴースト』)

人が人を想う気持ちが優しく、切なく伝わってくる作品でした。キャラクターの萌え要素とピュアなストーリーが、とてもバランスよく感じました。1つ1つのエピソードがアニメ化した時も想像できて、是非見てみたいと思います。
その後が一番気になる作品でした。

優秀賞『R.I.P. 天使は鏡と弾丸を抱く』 深沢 仁
(応募時タイトル:『撃ち抜けないのは天使と破片』)

ライトノベルを読むとアニメーションで想像することが多いのですが、この作品はまるで映画を観ているような感覚でした。と同時に主人公の設定は映像では表現しにくいと思うので、やはり活字ならではで楽しめる作品なんだとも思いました。
フィリップの冷たくも優しい行動や表現がにくい!