第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『奈落のマギナ』 雨野ちはる


評価コメント(1)

 独裁国家に集められた子どもたちが洗脳教育と身体改造によって人を超えた兵士となり、戦う……その、現実社会にもリンクするダークな設定はもちろん、その設定を支える“環境”の緻密さ。リアルな怖さに思わず震えました。そして、世界観とキャラクターがどちらもおざなりになることなく、この世界にあってこのキャラクターありという濃密な物語が実現しており、最後まで目が離せませんでした。

評価コメント(2)

 作品世界のフレームがよくできており、作品を支えています。危なっかしさがなく、安心して読めました。主人公たちの静かな哀しみとささやかな希望が、丁寧に描かれた労作。最初から最後まで、ブレずに同じトーンで書かれており、作者の強い意志を感じます。何を伝えたいかがストレートに伝わってきて、ラストでは温かい気持ちになれました。


一覧に戻る