第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『彼等の名はヴェルタ』 集蛾一蝶


評価コメント(1)

 テーマとして難しいSFを題材にしながら、設定説明に終わっていないのが好印象でした。現代人である主人公とヒロインが、5万年後の人間と繰り広げる異文化コミュニケーション。旅の中で主人公が受けるカルチャーショックや自分たちの時代が滅んだ「実感」。キャラクター性とドラマ性に富んだ物語は、作者の筆力を存分に味わわせてくれています。

評価コメント(2)

 細々とした設定が素晴らしい。たとえば「映示」という言葉が現代とは違う意味で使われており、その言葉の指し示す行為が適切な文章で描写されています。こうした細々としたアイディアがストーリーを邪魔しないよう、それでいて大量に投入されており、知的かつ贅沢な作品という印象を受けました。《境界密林》脱出までのわずかな期間を、魅力的な謎とキャラクターで彩るガチのSFとして楽しく読ませていただきました。


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