第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『夢の中なら』 鈴本恭一


評価コメント(1)

 寓話的な第一部、描写が細やかな第二部、より幻想的な第三部、ストーリーに応じて違った雰囲気を出せていることに確かな文章力を感じます。単独では救われない第二部のストーリーが、第三部でうまく第一部と重なり、より大きな物語として発展していく展開が技巧的で素晴らしいです。

評価コメント(2)

 キャラクターの行動を裏づける心情描写が細やかで豊か。ありがちな“記号”による外面的個性ではなく、キャラクターの思考や感性といった内面的個性でキャラづけ・キャラ分けできているのは見事! 読者の目を上すべりさせないキャラクターを描ける筆は大きな武器です。加えて世界観がまた素晴らしい! 「テクノロジーに塗りつぶされていく神」という現実の歴史にもリンクする世界観を、人間の社会性から語りあげたリアリズム。作品テーマを重厚に彩る個性として、強い輝きを放っていました。


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