第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『戌剣士』 壷幕辺ギャン太郎


評価コメント(1)

 人ならぬ者と戦うために造られた特殊部隊という設定が良く、そこに集う面々もそれぞれ魅力的に描かれており、彼らの見せる痛烈な死に様が読者に深い印象を残す完成度の高い群像劇になっています。剣戟に始まり、怪獣対人型兵器というバトル描写も素晴らしい。特に、ライトノベルではロボットによる戦闘描写は難しいと言われますが、本作ではその困難な業を見事に描ききっており、目の前の敵への恐怖から操縦席に篭もる熱まで、過不足なく描写されています。作品全体を貫くハードボイルドな文体は、物語に漂う非情な雰囲気を強固に、滅びゆく美しさをしっかりと表現しています。設定、物語、キャラクター、文章、あらゆる面で、高い評価を与えられる傑作といえるでしょう。

評価コメント(2)

 小説としての完成度は非常に高いです。会話も描写も堂に入っていて、プロの作品のごとく安心して読めます。「人に紛れつつ人でなく、殺されれば人の記憶から消えてしまう」という敵、およびそんな敵を専用に狩る戌剣士たちの、それぞれに特異な設定を物語の中で適切に活用できています。苛烈な戦闘シーンの描き方もうまいと言う他ありません。


一覧に戻る