第5回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『天才明日風の仮説はちょっと惜しい』 秋月紅葉

 自分を「完璧すぎる」と評する天才少女・蘇我明日風は、誰にもジャマされない平穏な高校生活を望みながら、まわりに寄ってくるおかしな友だちにかき回される毎日を送っていた。そんなある日、彼女は友だちによってメディア情報部へ連行され、「副部長の死」の真相を追うことになる。

評価コメント

 なによりもまず、主人公である明日風さんが魅力的! 彼女の完璧な思考や理屈が一人称で綴られていくのですが、その思考言語の個性とかわいらしさ。それに加えて、彼女はちょっとずつズレていたりおかしかったりするんだってことがちゃんと読者にわかるという「残念さ」。ふたつが相まって、もう読んだら好きにならずにいられない「キャラクターのみずみずしさ」を見せてくれました。このキャラクターの構成力は非常に大きな武器ですね。そして、そんなキャラクターを、一人称なのにある意味客観的に描き出してみせた筆力も素晴らしいです。
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