第5回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『七曜のキセキ』 黒色ソテー

 凄腕の便利屋として校内の裏側で名を馳せる女子高生・木梨京香。しかし、その完遂率の高さは彼女自身の能力ではなく、彼女の友――七つの大罪の名をそれぞれあてられた七人の悪魔によるものだった。京香を喜ばせるため、その力を尽くす悪魔たち。そんなにぎやかで血なまぐさい毎日がこれからも続いていくと京香は思っていたのだが……。

評価コメント

 自分は「物語の中心」にいて七人の悪魔を行動させ、そのエピソードを集めていくという、司令塔タイプの主人公像が新鮮でした。しかも、自分では行動しない主人公なのに、それぞれ個性の際立った悪魔たちの狭間に沈み込んでいないのもすごかった。これだけ主人公を活かしづらいスタイルの物語で、きちんと主人公として全うさせた作者の構成力と筆力の高さは高評価です。
 加えて、陰惨でシュールなエピソードが続いていくのにイヤな感じを読者に与えず、さらりとした読み心地を提供してみせた文章力も見事でした。
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