第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『天才明日風の仮説はちょっと惜しい』 秋月紅葉


評価コメント(1)

 キャラクターが素晴らしい作品です。とくに主人公の明日風をはじめ、ニツケ、瑠美、勾といった主要メンバーが個性的(といっても不自然な性格づけはなく)かつ魅力的に描ききれています。自信の裏返しから基本的に人を小馬鹿にした発言の多い明日風を、あざとくない「残念」さを加えて、嫌味にならないキャラにしているのが見事。ニツケの変態さも、うまくギャグに昇華させています。瑠美の空回りっぷりもかわいらしく、作品に萌えを添える存在。勾の単純さも、鼻につかない程度で違和感がありませんでした。そんなキャラクターたちの織り成す会話は読んでいて楽しく、明日風の一人称もズレっぷりが笑わせてくれました。比較的ページ数の多い作品ながら、飽きずに読ませきる筆力を高く評価します。

評価コメント(2)

 学園を舞台とするにあたり、各キャラクターの人間関係や派閥による関係性など、基本的なところの構成がきちんとできているのが良かったです。主要な人物に関しても、主人公を軸としてどのようなポジションになっていくのか役割がわかりやすく、キャラとしての把握もしやすかったです。終盤あたりの話の持っていき方も、キャラの感情を絡めて書かれていたのが良いです。キャラの掛け合いも、それぞれの性格を基調にしながらテンポの良いものになっていました。


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