第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『木材繊維の心霊体験』 赤緑僕彦

 高校生・木材繊維は、小鳥野つばさという少女の相談を聞く。彼女の家では、不幸なできごとが続いており、それを御祓いで解決したのだが、その後、小鳥野の母親は家出をしていた。小鳥野の家を訪れた木材が見たものは……。

評価コメント

 独特の「雰囲気」があり、作品の奥底に、主人公の哀しみがしっかりと存在していることが、大きな魅力になっています。ストレートでわかりやすいストーリー、平易で理解しやすい文章が、作家のメッセージを伝える大きな力に。使いこなせていないレトリックや、エキセントリック過ぎるキャラのような「身の丈に合わない背伸び」がないことも、この作品には合っています。また、主人公の秘密や掘り下げ具合も、作品テーマとバランスがとれており、読んでいて安心感がありました。
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