第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『剣と手袋』 壷幕辺ギャン太郎

 イ号と慎之介、ひょんなことから共に旅をすることになった二人は、旧知の寒田が設立した泥濘地に埋もれた兵器を発掘する「天地組」に身を寄せる。しかし、寒田は不在。天地組の女たちは、二人に不信の目を向けるが……。

評価コメント

 イ号と慎之介の主役コンビもさることながら、天地組の面々が生き生きとして、キャラもしっかり立っていて、とても魅力的。女たちのリーダーである抹露の気風の良さと、その裏にある弱さの描写には説得力があり、終盤に向けての彼女の葛藤には思わず引き込まれました。泥濘地で兵器をサルベージする釣り船という設定も、実にいいところを突いています。文章も巧みで、ハードな世界観に浸るのを全く邪魔しない。伏線の張り方も良く、レベルの高い一作。
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