第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『陶器の姫とブリキの騎士』 壷幕辺ギャン太郎

 三年前、謎の〈船〉が襲来し王都は滅ぼされた。ガラスの敵が放つ「光の矢」が唯一貫通しない陶器の鎧を纏える「陶器姫」を選ぶため、舞踏会が開かれる。選ばれた陶器姫は〈船〉を落とすべくその護衛となる騎士が募られ、ジューゴはその騎士団に参加する。

評価コメント

 世界観がよく作り込まれ、全体のテーマが最初から最後まで貫き通してあり、まとまりがありました。それぞれ舞台となる世界の教会の教えと、それと異なる考えをもつ主人公との対比。そしてその教えが示していた本当のことと隠された事実、と書きたいものが土台としてあり、それを元にしたしっかりとした構成になっています。キャラ同士の関わりでは、それぞれの帰属する文化の違いなどが会話の中で表され、そういった点も構成力の高さを窺わせます。雰囲気に沿ったファンタジーの要素も絡め、キャラたちのやりとりや時間の経過によって見えてくる異なった側面など、惹き付けるものがあります。
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