第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『時つ風の颯子』 ヤマダマサキ


評価コメント(1)

 舞台となる「夏枝国」を歴史の教科書にこっそり紛れ込ませたとしたら、なるほど近世か近代の東アジアにはこういう国があったのか、と万人が納得してしまうでしょう。かつて冊封体制下にあった国々にありがちな特徴をうまくミックスし、独特な雰囲気のある異世界を構築してみせたその技量に脱帽します。最強主人公系に分類されそうなチートスペックでありながら、嫌味を感じさせないよう造形されたキャラクターを、王道的なストーリーラインに沿って配置させる手腕にもそつがないです。

評価コメント(2)

 世界設定が丁寧に構築されていて、南国という珍しい舞台を用いながら、読みごたえある歴史冒険ファンタジーに仕上がっています。そして、襲ってくる敵が大陸北部の呪術師という点も興味深いものがありました。キャラクターの中では、鴉眉子が面白いです。颯子失踪までは、むしろ彼女が主役ではという勢いで場を支配していて、魅力的です。また、終盤の意外な味方キャラの登場なども楽しめました。


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