第4回『このラノ』大賞 特別選考委員 栗山千明さん選評

特別選考委員 栗山千明

栗山千明

私にとって毎年の恒例行事のような、かかせない存在になりました『このライトノベルがすごい!』大賞。
4度目の開催おめでとうございます。
そして今年も特別審査委員として参加させて頂きまして、ありがとうございます。
これまでの受賞者の方々の本が書店に並んでいるのを見かけると嬉しいと同時に特別審査委員として身が引き締まる思いです。
と言っても専門家じゃないので、そろそろ「何で毎年、栗山千明が審査するの?」と言われるんじゃないかと心配していましたが大丈夫なようなので安心しました(笑)
今年も面白くアイディアにとんだ作品が揃ったと思います。
その中で賞を決めるのは難しかったのですが、今年も栗山千明賞を選ばせて頂きました。

金賞&栗山千明賞『魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い』 小泊フユキ
(応募時タイトル:『伝達者』 応募時筆名:小泊重行)

オンリーワンな所を大切にし、その時に自分にできる精一杯の事をしようとする主人公に共感しました。読みきってみると勝利するための戦いではなくスプーンを使った誰かを守るための防御をする戦いが、かっこいいと思った事が意外でもありました。優しく努力を怠らない主人公を慕ってくれる友達、尊敬する師匠、導いてくれる先生……個々のキャラクターが活きているのも良かったです。

大賞『セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常』 長谷川 也
(応募時タイトル:『セクステット ~ぼくと五つの女優の卵~』)

コンセプトが面白く演劇部の先輩達の演技論を聞いていると納得させられていきました。ラノベならではと思う会話のやり取りが面白く、あっという間に読んでしまいました。安心して読める日常系に癒されます。

優秀賞『ヒャクヤッコの百夜行』 サブ

面白い事に怪異慣れした主人公より怪異達の方が表現豊かで人間味溢れるキャラクターに思いました。学校の会談や七不思議という怖いイメージを覆しすユニークな怪異に愛着を持てます。

優秀賞『非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに』 藤瀬雅輝

好きになって困難を乗り越え両想いになる事でゴールするストーリーではなく好きになって付き合う事から始まるストーリーが新鮮でした。主人公と彼女がいろんな試練に立ち向かい乗り越えていく事で中を深めていく姿が微笑ましいです。タイトルから想像したのは男性向けの作品でしたが読んでみると女性も羨ましく素敵だと思う作品だと思います。