第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『擬態少女は夢を見る』 島津緒繰

 高校に入学したばかりの隆史は、授業中にエッチな絵を描いていたところを、隣の席の地味な女生徒・薄氷霰(うすらい・あられ)に見られてしまう。弱みを握ったとばかりに、隆史を強引にアニメ制作に引きずりこもうとする薄氷。だが、マンガを描きたい隆史はなかなか首を縦に振らない。業を煮やした霰は、カツラと眼鏡を取り払い、超絶美少女である正体を露にする……。

評価コメント

 超のつく美少女でありながらとんでもない性格破綻者で、なぜかアニメ制作に執念の炎を燃やしている薄氷霰をはじめ、いわゆる「残念系」ヒロインが次々と登場する本作。スラップスティックコメディの本文は、荒削りにも思えますがなかなか読みやすい。テンポよく展開するキャラクターのたちの掛け合いに笑いながらページを捲っていくうちに、最初はちょっとエキセントリックすぎるだろうと感じた女の子たちが、だんだんと可愛く思えてくるから不思議です。最後はいい話にまとまっており、読後感がさっぱりしているところも好印象。
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