第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ロゥド・オブ・デュラハン』 松崎

 突如病死したリラとアデーレの姫姉妹。彼女らと親交のあった腕利きの傭兵少年アルフォンスは、その真相を探るべく動き出して死術師に襲われる。彼の危難を救ったのは、自称巫女の少女フリーダと、精霊デュラハンを名乗るはかなげな美女リィゼだった。彼女らと行動を共にすることになったアルフォンスは、死術師たちの起こす数々の事件とその背後に潜む陰謀に巻き込まれていく。

評価コメント

 陰惨で罪深い人としての過去を抱えながらも悔い改めて戦うリィゼが、凛とした戦闘時(首なし騎士への変化が、一種の変身ヒーローめいて見える)とうすぼんやりした普段とのギャップがあって魅力的。物語全体がリィゼ自身の物語として筋が通っているのも好印象。一方でアルフォンスとフリーダのキャラクターもいきいきしていて、ダークで重い物語の雰囲気を和らげるのに一役買っています。デュラハンなど精霊が、人の理屈を外れた人から生まれるという設定が興味深い(元姫君なバンシーのゲルダも、かつての姿および一般的なバンシーのイメージとの落差が楽しい)。そんな精霊同士が激突するクライマックスにおいて、ただの人間であるアルフォンスが重要な役回りを演じる点が痛快です。
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