第3回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『はんぶんのイチ』 飛山裕一


評価コメント(1)

 悪魔が転校してきたシーンはインパクトがあり笑ってしまいました。早い段階で悪魔を登場させてストーリーを引っぱりつつ、読者がそれに気を取られて何となく流していた疑問を終盤でクローズアップする、あるいは最初のほうでちらりと触れていた事柄がクライマックスで伏線として機能する、など小説の構成がしっかりしています。平原と悪魔が丁々発止のやり取りを繰り広げながら進展する、両者の信頼感とだまし合いの入り混じった複雑な関係性が実に魅力的。悪魔がクラスで独自の地位を占めていく過程や、平原がある事情から積極的に他人と関わっていくようになる姿なども、リアリティを保って説得力があります。巨漢の雷電、兵法かぶれのそん子、魅力が開花する京子など、サブキャラクターの描写も充実しています。

評価コメント(2)

 突然美少女の姿をした悪魔が現れ、契約を巡ってドタバタきゃっきゃうふふな生活に……という展開かと思いきや、コスメ上手な相撲取りが登場するなど、ストーリーは思いもよらない方向に進み、読者の予想を愉快な独創で裏切り続けます。悪魔・かがりと主人公・平原の関係は、利害の一致と相手を出し抜くための腹の読み合い化かし合いで、ものの見事に悪魔的。しかし最後にはきっちりとバトルへ発展しているのは、ライトノベルとして評価の高いところです。
[あらすじ・1次選考評価コメント]


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