第3回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『ドラゴンチーズ グラタン~ヴィーディル食堂のレシピ~』 中島英人


評価コメント(1)

 見事に自分の作品世界が構築されています。ヴェルキア器官や竜、アイソティアといった、この世界独自のものがきちんと意味を持って、存在感を主張しています。文章を読んでいて全く不安がない。戦闘シーンの緻密な描写や、各キャラクターのちょっとした一言もよく練られており読んでいて心地いい。とくに、龍が出現して猛威を振るう場面以降の描写は特筆すべきものがあります。まっすぐな感情、もしくは歪んだ感情のぶつけ合いもまた光り、竜に対して抱く様々な感情の奔流は見事。また、一人一人のキャラクターが生き生きと動いています。無駄な人物は一人もおらず、すべてきちんと機能しているのも良いです。

評価コメント(2)

 正直、まとまりという意味ではバランスの悪い部分もあります。しかし、作品に「熱」があり、アンバランスさも魅力に繋がっているように感じます。リズムを崩さず、最後まで書ききった底力に感嘆。何より、設定が素晴らしい!「ヴェルキア器官」から生み出される異能力と戦闘。発動までの動きの緩やかさと、発動後のスピード感の書き分けに、アニメーションを見ているような気持ちにさせられました。アニメ映画の予告編のようなプロモーションアニメがあったら……と強く思います。レミオの一途さやヴィーデル食堂の面々も良いが、悪役のバレロンが非常によく描けています。


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