第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ゴールドピリオズ』 藤原聡紳

 近未来の日本は医療技術の発達により、人は死にたくても死ねない体制が確立している。高校生のキョーコ、アキラ、ヨースケの3人組は、社会を管理するAIにして友人の「エイタス」の力を借り、「クールでロックな」計画をさまざまに実行している。その中には「死ぬ計画」も含まれていた。ある日、エイタスは3人組に自作の戦闘機の開発を手伝ってもらえないかと依頼する。


評価コメント

 死にたくても死ねない世界という舞台を、社会に反抗的な10代の少年少女の視点から描くことで独自の世界観をつくることに成功しています。冒頭の銀行強盗のシーンから読者に設定を印象づけ、キョーコたち3人組への感情移入を誘うなど、話の見せ方が実に巧みでした。医療制度の網の目をかいくぐって自殺してみせるというキョーコの計画は、彼らの状況における反抗精神の現れとして共感できました。

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