第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『伝説兄妹』 おかもと(仮)

 天才詩人を自称する貧乏大学生の柏木絆はある日、山の中で記憶を持たない謎の少女と出会う。彼女は読者を感動のあまり泣かせるような詩の才能を持っていた。柏木はなぜか自分を慕う少女を連れ帰り、デシ子と名付ける。師匠として詩の特訓を行うふりをしながら、デシ子の詩を売って金を稼ごうとする柏木だが……。


評価コメント

 この作品の第一の魅力は語り手・柏木の人物造形にあります。天才詩人を自称し、借金を重ねるくせに態度だけは尊大という非常にダメな男なのですが、自分の詩がダメなことを自覚していたり、デシ子の才能に嫉妬してみせたりと、どこか憎めないところが読者の共感を誘います。そんな柏木によるユーモラスな語り口は、どんどん先を読ませるだけでなく、一見して荒唐無稽なファンタジー設定を読みやすいものにしていました。

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