第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『cross×over』 真之真

 高校生の少女、真名城夏帆は母の死と前後して、亡くなったと思っていた父が生きていることを知る。父からと思われる手紙を受け取った夏帆は、期待と不安を抱きつつも待ち合わせ場所へと赴く。そこで自転車を駆る運び屋の青年ハルと出会い、彼とともに逃げる羽目に。同じ頃、裏の世界での調査を生業とする東条真巫由は依頼を受けて一人の男を追っていた。対象はかつてウィルス兵器を作った経験のある化学者にして、夏帆の父親である宮藤だった。理由もわからぬまま追われる夏帆と追う真巫由の二人のゆく道はやがて交差する時を待っていた。


評価コメント

 複数の要素がクロスオーバーすることによって事件の全貌が見えてくるなか、徐々に情報が提示され、物語が加速していくようすは、読んでいて気持ち良かったです。まるでテンポの良い映画を見ているようで、後半になるにつれ加速度的にページをめくる手が進みました。緩急をつけて挿入されるアクションシーンも読んでいてイメージがしやすかったです。敵役も印象的かつ魅力的で、追う側と追われる側の攻防を手に汗握って読み進めました。

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