第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『おにひめうらら』 坂井友洋

 坂上田村麻呂と鈴鹿御前の子孫である中学生の鈴太はある日、田村麻呂を憎む八面大王という鬼に襲われる。しかし鬼の力を持つ鬼姫・うららと化け狸の少女・茅穂によって命を救われる。彼女たちの助力で先祖から受け継いだ力を鍛える鈴太。うららは鈴太に惹かれていく。しかし八面大王との激闘の結果、鈴太は一人取り残され……。


評価コメント

 坂上田村麻呂と鈴鹿御前の伝承をうまく設定に組み込んでいました。敵役の鬼たちにも主人公たちを恨むだけの動機が設定されていて、読んでいて不自然に感じません。主人公とヒロインたちの出会いと再会を交互に読ませる構成もうまい。登場人物たちの感情の移り変わりもわかりやすく、特に主人公に一途な好意を寄せる化け狸の茅穂は非常に魅力的なキャラクターで、思わず応援したくなりました。

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