第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ターンアラウンド』 渋谷英樹

 二流の県立大学に通う伊藤は、ある日霧島詩織に、(伊藤の)父親の会社が倒産することを告げられる。霧島は大企業の社長令嬢で、会社の立て直しをボランティアで引き受けていたのだった。


評価コメント

 「破産」というテーマを扱い、知識を披露しながら法律を駆使。生臭い交渉などもあり、追い詰められた状況から具体的な解決を迎えるこの作品は、その「具体性」ゆえに、希望を強く与える作品になっています。読み終わった後には爽快感を感じました。特殊な能力もなく二流大学生であるがゆえ屈折している主人公は、漠然と将来に不安を感じて閉塞感に捉われているこの就職難の時代に強い共感を呼ぶ主人公であると言えるでしょう。

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