第1回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『かみかくし』 小豆畑卓也

 主人公の「俺」は中学3年の時に神隠しにあい、名前を奪われた。「俺」は名前がないまま高校2年になり、悪夢や白昼夢を見るようになる。内容は常に誰かを猟奇的な方法で殺害するもの。おりしも街では女性ばかりが連続して行方不明になる事件が発生。「俺」は高橋真澄から、これは「神隠し」なのだと伝えられる。電波的な言動で有名な彼女の言葉に戸惑うものの、共に調査を開始する。


評価コメント

 なんらかの関連性があると思われる事柄が「怪異」や「神隠し」といったキーワードで繋がっていき、最後に主人公が名前を奪われていることとも関係あることが判明するまで、丁寧に描写されています。主人公の名前を奪ったものの正体や、神隠し事件の犯人などが明かされるくだりは良い意味で予想を裏切られました。共に事件を調査するヒロインたちも個性豊かで、信頼していたはずのヒロインがふとしたきっかけで事件に関わっているのではないかと疑うことになる見せ方もうまかったです。

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