第3回『このラノ』大賞 特別審査委員 栗山千明さん選評

特別選考委員 栗山千明

栗山千明

第3回『このライトノベルがすごい!』大賞、開催おめでとうございます。
今年も、いち早く世に出る前のピチピチしたラノベを読ませて頂きました。
ありがとうございます。
多くの作品の中から最終選考に残った作品は、どれも面白い作品ばかりで、こんなに悩んだ事がないってくらい審査が大変でした。結果として2作品を栗山千明賞に選出いたしました。
今年も一ラノベファンとして失礼ながら素人らしい(笑)コメントをさせて頂きます。

栗山千明賞『擬態少女は夢を見る』 島津緒繰 

悩みや劣等感 。それから逃げるんじゃなく向き合って受け入れていく。そうする事で素直な自分、本当の自分になれるんだと思いました。ぶっ飛んだキャラクターばかりですが、その設定が後に人間らしく感じました。アニメーションの事も知ることができ面白かったです。

栗山千明賞『サマにならない英雄伝説』 遊馬足掻 

常識を覆されたような感覚でした。コンプレックスを抱えていたり向上心よりも平凡な幸せを望む主人公に共感する人は多いのではないでしょうか。だからといって暗く描くのではなく、それをユーモアをもって描いているのが良いと思いました。人であろうが、精霊であろうが、魔王であろうが、大魔王であろうが、そんな肩書き関係なく接してくれる人もいるし大切に思ってくれる人もいる。ほっこりした気持ちになりました。

大賞『ロゥド・オブ・デュラハン』 紫藤ケイ
(応募時筆名:松崎)

読みごたえがありました。残虐な描写の中に悲しみや葛藤、歪んだ愛情などがあって切ない気持ちになれました。そんな思いを背負いながら自分と仲間を信じて戦う女性の姿はカッコイイです。洋画や洋ゲーのようなブラックファンタジーの(という表現が正しいか分かりませんが)、ビジュアルが浮かぶ私の好きな世界観でした。

優秀賞『オレを二つ名(そのな)で呼ばないで!』 逢上央士
(応募時筆名:逢上翁児)

キャラクターがはっきりしている。バトルのアクションが懲り過ぎてなくて読みやすく、あっという間に読んでしまいました。 驚きや緊迫感というより安心して読める、万人に受け入れられる作品だと思います。

優秀賞『はんぶんのイチ』 飛山裕一

冒頭から心を捕まれました。意外な心情を描いていたりで文章にも個性も感じました。かがりとのやり取り(台詞のゆるさとお互いの探り合いが)もっと読みたいと思いました。真面目なユーモアが面白さでしょうか。

優秀賞『剣澄む~TSURUGISM~』 ますくど

私にとって剣の戦いは知らない言葉や読み慣れていない言葉が多く難しく感じる事が多いのですが文章がとても丁寧だからか、すんなり読めました。“武士”が現代の東京にいたら、なんて身近に感じられたのも良かったです。