第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『自殺、駄目。絶対。』 鹿島カズユキ

 新発売のゲームを買い逃したため、駅のホームで気軽に「死にたい」と呟いた高校生・市川幸人は、何者かに線路に突き落とされる。彼を突き落としたのは、自殺を止めるために地獄から派遣されてきた幽霊・黄泉賀絵梨だった。

評価コメント

 良い意味で非常に手堅い。ヒロインの導入もスムーズで、ターゲットの取り違えに関する流れも大変うまい。完全に意表を突かれた、という展開こそないものの、それは裏を返せば安心して読み進められるということ。悪い意味での裏切りがなく、読後感が非常にさわやかでした。また、「自殺者が増えすぎて地獄が人手不足になっているので、地獄のエージェントたる幽霊が現世で自殺を阻止する」というシチュエーションの基本設定も上手です。
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