第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『俺の姉と妹と幼なじみがみんな鎖で縛ってくれと言う』 二六零

 葛城飛龍は代々受け継がれてきた「縛鎖」と呼ばれる秘術で異界の「幻妖族」の少女を呪縛し、以来、彼女を姉として共に暮らしてきた。ある日、その正体が幼馴染みに悟られそうになり、飛龍は対策として一時的に姉を解放しようとする。だが、そのための儀式を執り行った結果、思いもよらないものを召喚してしまい……。

評価コメント

 お姉ちゃんが変態で良い。妄想癖のある女性とのずれたやり取りを軸とした会話芸となると先行例がたくさんありますが、笑いの水準は決してひけを取らないでしょう。姉のボケがクッションの役割を果たしているおかげで、異界からヤバイものを召喚するといったシリアスな事態も軽くスラスラ読めます。途中から登場する妹と、彼女の出身世界の設定が奇妙なまでに細かいルールに縛られているのも妙なこだわりがあって楽しい。また、召喚時の様子のたとえや、「何で君は夜空の月をかじろうと思わないのだ?」といったさり気ない文章・台詞回しにセンスがあります。
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