第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『Devil’s ChocolateCake』 長谷川シノ

 女子高生・桜庭マコトは両親が残したマンションで一人暮らしをしている。ある夜、マコトの前に自分を悪魔だと名乗る男・鍮(ちゅう)が現れる。勝手にマコトとの同居をはじめた鍮は、勝手な振る舞いでマコトを悩ませるが……。

評価コメント

 読みやすく、読了後の雰囲気も良い。見かけは「黒く」「怖い」、でも食べると甘くて美味しい……タイトルと内容がよく合っています。マコトと鍮の関係性が、非常にうまく描けており、心地良いです。最初は鍮を邪魔に思うマコトの気持ちが徐々にほぐれていく様子にリアリティがあり、スムーズにマコトの心の動きが描けています。ラストも、寂しいようなスッキリしたような、不思議な想いを抱かせて、作品によく合っています。なにより鍮が魅力的。女性が惹かれていく過程に説得力があります。いい加減に見えても、懐の大きさを感じさせるし、弱点が奥行きを与えています。他の女性たちも魅力的で、とくに砂那、美璃などは、一面的ではない奥行きを感じさせます。
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