第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『剣澄む~TSURUGISM~』 ますくど

 西暦2020年、日本には「御三家」と呼ばれる組織があり、神秘の武具を守ることを使命としていた。その力を示すために御前試合が行われることになっていたのだが、「刀狩り」という謎の剣士が現れ、御三家の剣士の刀を次々と奪っていく。父もまた刀狩りに襲われたと知らせを受けた上泉綱義は、実家に戻り、蔵に捕えたという刀狩りを目にする。縄で縛られていたのは、自らを妖刀村正と名乗る少女だった――。

評価コメント

 しっかりとした剣劇描写、とくに技の書き分けができていて、映像的なイメージがきちんと浮かんでくるのが良いです。主人公の「眼」の能力のおかげで不自然に流れが途切れることもなく、細かな描写と戦闘のテンポが両立できています。戦い方も一本調子でなく、そのつどの相手と主人公の心理状態がうまく活かされています。とくに柳生戦は、ストーリーの転換点としての盛り上がりも相まって、引き込まれました。戦闘中に明かされるヒロインの秘密が、それまで積み重ねてきた個性的な性格描写と噛み合っていて印象深い。魅力的なヒロインです。
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