第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『美しき魔女と第二の春』 三木なずな

 アノンは東京の外れで、恒娘(エターナルリトル)という幼い容姿を持つ90歳の老女・セシリアと暮らしている。実家からの呼び出しを受けて、セシリアとともに生まれた国を訪れたアノンは、物売りの少女・リンリーと出会う。酒びたりの父親と暮らすリンリーの身の上を知ったアノンがとった行動は……。

評価コメント

 非常に良くまとまっており、文章力も確かで、楽しんで読むことができました。10歳を超えたら成長しない“恒娘(エターナルリトル)”という設定をキワモノとして扱わず、上品で贅沢に使っているのも好感が持てます。主人公アノンには、本来の意味での「ニート」らしさがあり、今までにない主人公に成り得る可能性を感じました。セシリアやリンリー等、すべてのキャラクターの動機付けが自然で、描き分けもしっかりできています。世界観、作品の空気感に独自のものがあり、得がたい個性となっています。本作の登場人物たちの“その後”も読んでみたいし、セシリア以外のエターナルリトルの生き様も見てみたいです。
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