第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『偏屈爺の宝石箱庭』 椰森八思緒

 探偵のクレオソートは、宝石商の依頼を受けて絶海の孤島に招かれる。具体的な依頼内容は明かされておらず、島内には宝石商の遺産相続人たちも集められていた。そして、全員の前で明かされた依頼内容とは、「これから島内で起こるであろう殺人事件を解決して欲しい」というものだった。

評価コメント

 一つ一つの描写が丁寧かつ巧みであり、読んでいて情景が自然と目に浮かんできます。比喩表現もユーモアに富んでおり、最後まで楽しく読めました。それぞれの登場人物の会話の端々で、登場人物の描写や考え方が、自然と読者に伝わるってくるような見せ方もうまい。その登場人物たちもマザコンで暴力的な助手の少女から、性格の悪いセクハラ親父までバラエティ豊かで、どのキャラも印象的なエピソードを持っており、憎めない性格をしています。そして何より、ラストで待ち受ける展開は、とても優しくて、読者に心地よい読後感を与えてくれます。
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