第3回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『疫災百禍』 金暮銀

 神の力を人の身に宿した、日本軍の人間兵器「神人」。疫病神の力を持つ軍人・恵方幸男も、そんな神人のひとりであった。とある事件から軍を脱走した恵方は、ゴミ処理場に身を隠す。五年の月日が流れ、ひとりひっそりと暮らす恵方のゴミ処理場に、貧乏神の神人と人間の間に生まれた少女・幸が迷い込んできた……。

評価コメント

 読み始めてまず、「神人」「亜神」といったオリジナリティ溢れる設定に引き込まれました。主人公の恵方と幸が、「神人」たちの中でも一風変わった能力を持っているというところも、またいい味を出しています。自然と、彼らの能力を活かしたバトルをもっと見てみたいという気持ちにさせられました。文章は堅実で、構成もうまい。スッと状況が頭に入ってくるので、すいすいと最後まで読み進めていくことができました。描写力も高く、荒廃しているがどこか温かい、世界の空気感までがしっかりと伝わってきます。
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