第3回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『みらいカナイ』 七夏真冬


評価コメント(1)

 ひよこ鑑定所という閉鎖的な特異空間で、未発達な性に苦しむ若者たちのいびつながらも美しい姿が見事に描かれています。一般社会から切り離され、同じ境遇で苦しむ者たちは不器用にふれ合うことで成長していきます。しかし、成長の先にあるのは死。ただよう死の気配が徐々に増していく、えも言われぬ緊迫感が満ちています。子供から大人に変わっていく一瞬を見事にとらえた作品です。

評価コメント(2)

 一筋縄ではいかないキャラクター、舞台設定、文体。それらが混然一体となって、筋をきっちり追いかけられている気がしないのに、不思議と心地良い読書体験に浸れる……。筋道を追いかけていくことだけが小説を読むということ、筋道を追いかけやすい小説だけが良い小説ではないということを教えてくれる作品でした。ライトノベルという文化全体を見回したときに、こういう作品がたまに出てくることこそがその豊かさの証明と言えると思います。


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