第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『邪影剣『朧』』 安東陽介侍

 異常な管理社会になった日本。夜行半月は強要され、想い人である柳生楓を手にかける。残虐な兵士の仮面をかぶり、味方から認められた半月は、いつしか王の親衛隊である「神威隊」の隊長にまで上り詰めた。そして、一人の少女、満月と出会う。

評価コメント

 殺人の狂気に飲み込まれていく、殺伐とした雰囲気がたまらない。ほとんどが短文で、説明不足ともとれる文章ながら、それが作品の荒々しさと虚無感、主人公半月の悲しさと相まって、何とも言えず魅力的です。また、命さえ落としかねないと知りつつ、己の信念を貫き通すヒロインの満月も、萌えとは違った強い女性の魅力に溢れています。半月と満月の出会いは、不吉な結末しか感じないのに目が離せない。ほとんどが救いのない、殺人と戦闘のシーンにもかかわらず、テーマがまるで真逆のところにあるのも、一つの作品としてのポテンシャルの高さとなっています。
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