第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『残機ゼロ。』 賽助

 交通事故で死んだ角屋圭太は、神様にゲームの裏技”残機を増やす方法”を教えたことで、10回死んでも生き返れる10機分の残機(命)をもらって生き返った。しかし、そのことを知った上級生・綾瀬藍子は彼を巻き込み、死亡必至のリアル悪党狩りを開始。圭太は自分の残機を減らしながら、藍子と共に悪党を倒していくのだが……。

評価コメント

 この設定で、この展開で、最後は直球ど真ん中にびしっと決まる青春もの。正直、やられた感でいっぱいになりました。その要因は、キャラクター。「たんなるクラスメイトキャラ」を自負する主人公が、想定外の特別さを得て右往左往する様が等身大で、その心情にすんなり入り込めました。メインヒロインの藍子も非常に練り込まれており、その突飛な言動に説得力があるのは素晴らしいです。ぶっとんだキャラをきちんと裏付け、しかも物語の中で活かせる力は本当に貴重。さらに、派手さのない日常パートをうまく見せられる、地の文の完成度も高評価。
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