第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『夢の中なら』 鈴本恭一

 その異常な力により誰からも忌み嫌われた王子、ミュルツ。彼は竜を殺すことに情熱を傾ける。貧しい山村の少女、ヒーエ。飲んだくれの父親と暮らす彼女は、父が説く森の神の教えを信じていたが……。

評価コメント

 竜、そして《竜殺し》の迫力ある描写、説得力ある設定にまずは大いに驚かされました。ミュルツのかなり異常な心理状態もすんなりと納得がいきます。異常な心理状態を説得的に描けているのは、ヒーエのパートにも共通するこの作品の美点。また、全く無関係に思えた二つの物語が合流するダイナミックなストーリー展開も見事。森の神の正体、竜と《竜殺し》の永遠の戦いなどの設定面もよく練り込まれ、新鮮味があります。骨太で壮大な異世界ファンタジー小説。
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