第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ヘルファイアクラブ』 竹内卯月

 天才科学者ニコラ・フラメルが開発した細胞分子改造技術。その技術は世界に数多の“悪の怪人”を誕生させた。そして同時に、同じ改造人間でありながら悪を討つ“正義の超人”も。両者はぶつかり合い、なれ合い、いつしか社会の中で互いの役割を演じつつ共存関係を保つようになった。そのぬるま湯の中に、復讐の炎を燃やす少女が現われた!

評価コメント

 世界設定の厚さに、とにかくやられました! 改造人間という存在が普通の人々の形成する社会というものの中で押し詰められ、ゆがんでいく様が文中で完璧に表現されています。心情や生い立ちといったキャラクター設定だけでなく、勧善懲悪では収まらない世論の圧力を舞台に盛り込んだ構築力は大きな魅力です。そして、そのような薄暗い舞台の中だからこそ輝くヒロインの復讐劇。ダークヒーロー物に必須の黒いカタルシスが堪能できるのも、大きな評価点。
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