第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『ハッピー・アムネジア』 原子アトム

 主人公は、妄想と同時に失神してしまう特異体質の持ち主。医者から預かった妄想を抽出するマシンによって、発作を抑えながら日常生活を送っていた。ある日、妹の提案により、抽出した妄想を売り捌く仕事にも手を染めて……。

評価コメント

 飛び抜けて文章がうまく、凄まじく頭の良い書き手の作、という印象を受けました。インテリ臭さはあれど嫌味な感じはない。妄想と妹に振り回される「僕」のラッキースケベな日常が、するすると流れ込んできました。妄想と現実の区別が曖昧という、一歩間違えば駄作になりかねないネタを、巧みに操るこの文体芸、見事です。
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