第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『迷子のペットの探し方』 小鈴危一

 動物の匂いをたどれるという特技を持った見波伊佐樹。動物から好かれる体質を持つ少女・羽耶。二人はその特技を活かして、探偵事務所でペット探しのバイトをしていた。今日も事務所にはさまざまな依頼が持ち込まれる。

評価コメント

 連作短編ミステリーという構成ながら、どの話も手堅くまとまっています。また、ペット探しという題材もあって、合間合間に動物の飼育に関する知識が上手に織り込まれています。中でも犬とマンションの話は、伏線の配置や、動物の習性をうまく使った真相、ラストで明かされる幽霊の正体など、完成度が高く感じられました。主人公とヒロインのかけあいも楽しく、少し生意気なヒロインが時折見せる嫉妬やデレた部分もうまく描写できています。そして何より作品全体に動物に関する愛情が満ちており、良い読後感を与えてくれました。文章もこなれており、最後まで楽しんで読むことができました。
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