第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『彼等の名はヴェルタ』 集蛾一蝶

 海人とリクは、見知らぬ場所で目を覚ました。危険生物が闊歩する【境界密林】で遭難した少女・九々が、偶然古代の施設を発見し、二人を目覚めさせたのだ。そして、二人はここが未来の地球で、地軸が止まっていることを知る。そのうえ、二人には眠る直前の記憶が欠落していた……。

評価コメント

 地軸が突然停止して環境が激変した未来の地球が舞台、という設定は、SF的にはこれまで幾度となく考察されてきました。しかし、コールドスリープにより生き延びた旧人類というギミックを合わせることで、魅力的な世界観を演出できています。未来の人類となぜ言葉がスムーズに通じるのか、といった当然のツッコミについては、読み進めていくときちんと手を打たれていて、設定を細部まで詰めてある証拠。物語展開的に、ごく自然と登場人物が絞られているのはうまい。無理なく少数のキャラを掘り下げられています。
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