第4回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『灰色のbifronte』 待鳥イナギ

 人が人としての魂と、動物としての魂「ベステジオン」を持つ世界。高校生のメトは謎の黒マントに襲われたところを見知らぬ少年フォレンに助けられる。彼は国の組織「捕食者(プレダトーレ)」に所属しており、人を襲いベステジオンを奪おうとする犯罪組織「黒い指(ネーロディート)」と敵対している。メトはプレダトーレのアジトで保護されメンバーとの親交を深めていくが、敵のものと思われる手紙が発見されたことで、組織内にスパイがいるのではないかとアジトに不穏な空気が漂う。疑惑が向けられたのは別任務から帰還したフォレンだった……。

評価コメント

 つかみ、出会い、設定説明など、それぞれの場面のメリハリが利いていて読みやすいです。特に、ファンタジー部分の設定がわかりやすい。キャラクターのモチーフになっているコウモリやイルカなど、動物ごとの能力がしっかり書けており、設定の応用力とくっきりしたキャラクター性を両方出せています。主役のフォレンとメトをはじめ、誠実なキャラクターが多いので、読んでいて自然と好感がもてるのも良い。掛け合いも面白く、シリアスなストーリーを損ねることも重くさせすぎることもなく、引き立てています。
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