第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『あの世界』 杉原由紀


評価コメント(1)

 アニメ制作の現場のディティールが魅力的で、作業手順の詳細もさることながら、現場にいる人物の造形が非常にリアリスティック。人物造形のリアルさはセリフ回しの自然さに繋がっていて、これは読んでいてとても心地良かった部分です。また、漠然とした話になりそうなところで、泥棒と便器の謎がきっちり一本の筋になっているところは評価したいです。

評価コメント(2)

 アニメ制作現場を、かなりのリアリティで描いている点が強烈なアピールになっています。そこで働く才ある人、およびその予備軍たちの姿も鮮やかに描き出していて、盗難事件などの謎を差し置いても読み進める強い原動力になっています。アニメという夢を目指す少年・梓実(しじつ)、アニメを仕事にし始めた烏梅(うばい)、アニメ業界を現実として悪戦苦闘する進行の蘆薈(ろかい)、その現実において夢を形にしているアニメ作家・五加皮(ごかひ)、とロンド形式で展開するストーリーも巧みです。


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