第4回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『ハッピー・アムネジア』 原子アトム


評価コメント(1)

 病気レベルの妄想を持つ兄と、それを売りさばくアコギな妹という設定だけでも十分に楽しいのですが、本作の読みどころは設定よりも文章にあると言えるでしょう。テンションの高い語り口、登場する妄想の馬鹿馬鹿しさ、ところどころで見られる個性的なレトリック、テンポの良い兄妹の会話、場面場面で炸裂するギャグ、皆大好きラッキースケベ……。コメディが必要とするあらゆる要素が詰め込まれています。中でも比喩表現の巧みさは天下一品で、他では見られない表現が次々と飛び出す。このレベルの文章を計算して書けるであれば、今後も安定して良作を書き続けられるでしょう。また、全体的にふざけているようでいて、最後では物語のテーマに沿ったラストが用意されているのもお見事です。

評価コメント(2)

「妄想を他人に売る」という設定がすごく良いですね。果てしなくエッチにも、果てしなくバカにも、読み手の興味をかきたてる方向に広げていける可能性があります。冒頭部分もテンポよく、めまいに似た気持ちになりながら作品にのめりこんでしまいました。生徒会長の口調も魅力的で、知性と隙を感じさせて色気が漂っています。


一覧に戻る