第4回『このラノ』大賞 3次選考結果

2次選考を通過した24作品の中から3次選考を通過した4作品が決定しました。
本年度は4作品が3次選考を通過しました。
(掲載は五十音順)



『伝達者』 小泊重行 →2次選考評価コメント


『ヒャクヤッコの百夜行』 サブ →2次選考評価コメント


『セクステット ~ぼくと五つの女優の卵~』 長谷川也 →2次選考評価コメント


『非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに』 藤瀬雅輝 →2次選考評価コメント

3次選考総評

 本年度もたくさんのご応募ありがとうございました。2009年よりスタートした『このライトノベルがすごい!』大賞は、おかげさまで第4回を迎えることが出来ました。
 本年度は昨年度を上回るご応募をいただき、全体としても非常にバラエティーに富んだ作品が集まった印象でした。毎年の事ながら、選考は難航しましたが、最終的に4作品が3次選考を通過することとなりました。
 小泊重行さんの『伝達者』はユニークな設定が目を引くファンタジー作品です。主人公の不器用ながらまっすぐなキャラクターにも好感が持てました。加えてその内面的成長を通してカタルシスがきちんと描けていた点も高評価でした。
 サブさんの『ヒャクヤッコの百夜行』は何よりもキャラクターが非常に魅力的でした。軽い読み口と登場人物たちの軽妙な掛け合いで読者を楽しませてくれる作品です。
 長谷川也さんの『セクステット ~ぼくと五つの女優の卵~』はキャラの会話だけで読ませるコメディー作品です。ほとんど会話だけで展開されながら、ぐいぐいと引き込まれました。特にそのセンスが秀逸です。
 藤瀬雅輝さんの『非モテの呪いで俺の彼女が大変なことに』は学園ラブコメを基調としつつ物語の中心となる学園の「呪い」がうまく使われており、読者を最後まで飽きさせない工夫がされていました。また、物語の起承転結が明確で、テンポ良く楽しめる作品です。
 次に今回は残念ながら3次通過とはなりませんでしたが、通過までもう一歩だった作品を挙げたいと思います。
 雨野ちはるさんの『奈落のマギナ』は細やかに練られた設定と、容赦の無い戦闘描写が目を惹く作品でした。キャラクターにもう一つ磨きをかけ、読者に感情移入をさせられると、物語としての完成度が上がるのではないでしょうか。
 久賀雪生さんの『空の中のアジュ』は非常にしっかりした王道のファンタジー作品で、物語としても非常に綺麗にまとまっていました。この作品ならではの新しさを加えられると、より魅力的な作品に仕上がると思います。
 集蛾一蝶さんの『彼等の名はヴェルタ』はSF的な設定を用いつつ、謎が謎を呼ぶ展開でリーダビリティーの高い作品でした。テンポの良いキャラのかけあいと展開、バトルや状況表現にもセンスを感じましたが、物語が完結していない点が残念でした。
 原子アトムさんの『ハッピー・アムネジア』は「妄想を他人に売る」というアイデアが光った作品でした。ストーリー展開などをもう少し客観的な視点をもって改善することで、より読者をひきつける作品になるかと思います。
 矢凪誠治さんの『それは時を駆ける魂』は学園ラブコメかと思いきや、そこから一転して意外な展開に転がっていくというアイデアが光る作品です。キャラクターと構成を工夫することで、読者をもう一段、物語に引き込めるとより良い作品になったのではないでしょうか。
 いずれの作品も他にはない光る魅力を持つ作品ばかりですが、それに加えて今回はキャラクターや文章、構成等の各要素で総合的にバランスが取れている作品が3次選考を通過する結果になったように思います。
 1次選考、2次選考も含め、今回は残念な結果となった方も評価シートなどをご参考にいま一度自身の作品を読み直し、是非また新たな作品で次回ご応募いただければと思っています! 『このライトノベルがすごい!』大賞では皆様からの渾身の作品を引き続きお待ちしております。