第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『六花廷へようこそ』 秋山楓


評価コメント(1)

「逆転裁判」などを彷彿とさせる、学園を舞台にした法廷もの。作中でも同作のパロディが描かれるなど、意識している様子が見て取れます。実際、これで終わりかと思いきや意外な展開を見せる終盤は、最後まで気が抜けませんでした。六花廷の意義やあり方にまで踏み込んだ、オチの付け方もきれいです。法廷ものでありながら、その前段階である捜査シーンに分量が割かれており、ちょっとしたミステリー気分で読み進めることができます。キャラクター同士の会話や感情の描き方にも要所要所で光るものがあり、楽しく読むことができました。

評価コメント(2)

 お嬢様が強い権力をもつ学園で、六花廷と呼ばれる生徒同士で開かれる不平等な裁判、という設定がありがちな部活ものとは違った切り口になっておりおもしろいです。弁護団に所属している主人公の野村が、検察側にあたる女生徒千石の裸を見た件で訴えられ、なんとかそれを無罪にしようという流れには法廷ミステリーのおもしろさと同時に、誇張されたフィクションというライトノベルらしい楽しさがありました。ともすれば難しく複雑になりがちな法廷ものを、わかりやすいエンターテインメントにしてある手腕は素晴らしいです。


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