第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『勝手にしやがれ!』 加持響也


評価コメント(1)

 多人数視点で描かれる巧みな物語構成に、作者の確かな実力を感じました。どの視点から描かれる話もおもしろく、各キャラの描き分けがはっきりとできているのは、キャラクター作りがしっかりしている証拠。個々のキャラにはちゃんとした性格づけがされており、そこから導きだされる行動にはブレがなく納得がいきます。思惑が交差する混戦模様を、手に汗握る展開で描ききり、収まるところに収めた筆力に脱帽です。

評価コメント(2)

 構成の巧みな群像劇として楽しく読ませていただきました。多数の個性的なキャラクターが入れ代わり立ち代わり登場してはそれぞれの事情から本編に絡んでゆくのですが、状況説明や設定開示タイミングの調整もうまいのか、何の苦もなく読み進めていけます。魔宝珠シャドルマンドゥの盗難はあくまで掴み、物語の核は町を牛耳る組織と暗殺計画ですので、ややもすると陰惨な話になりそうなのですが、そこは作者の腕の見せどころ。女剣士マナの楽天的な性格とコメディチックな会話芸、どこか憎めない暗殺者コンビのおかげで重苦しさを感じさせない読み心地に仕上がっていました。


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