第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『勇者は口数がそんなに多くない傾向にあるのか』 加藤雅利


評価コメント(1)

 勇者をサポートする「賢者」が、じつは高校生のアルバイト! 勇者も戦士も魔法使いも、みんなクラスメイトという設定が斬新です。RPGをネタにした作品が多い中で、現代の学園モノとミックスさせたアイデアの勝利といえます。かといって奇抜な設定まかせではなく、各キャラクターは個性的でしっかりと練り込まれていました。会話文のおもしろさと相まって、シュールさすら感じさせる世界観に、説得力と作品としてのおもしろさを巧く持たせています。仲間を集めていくという物語展開には、読者を飽きさせないように緩急が設けられており、終盤の急展開は予想外。度肝を抜かれました。続きが気になる作品です。

評価コメント(2)

 現代社会を舞台にバイト感覚で勇者の補佐をしたり、モンスター退治の効率化をはかるために聖剣を竹やりにくくりつける発想など、どこかとぼけた感じの世界設定がおもしろかったです。その一方で、平和なはずの学校生活では女の子たちがそれぞれに悩みを抱えていたり、男子が女子の写真を加工してトレーディングカードにしているなど、生々しい辛さや悪趣味さがうまく描かれており、作品をただの楽しいコメディで終わらせていない点も高く評価できます。また、脚フェチで女性キャラが新たに登場するたびに、脚の評価を始める主人公もよい味を出していました。こういった細かい部分でキャラを印象づけられるのは貴重な才能です。


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