第5回『このラノ』大賞　2次選考通過作品詳細

『ウィンチェスターに優しい空を』　鈴木隼

評価コメント(1)

　いわゆるゾンビの少女をヒロインとした恋愛もの。淡々とした語り口が、主人公とヒロインの関係を軸に、そこからぶれることなく丁寧に進んでいくストーリーとマッチしています。物語の展開も、二人の逃避行や、もう一人のヒロインとの三角関係など、恋愛ものに定番の展開がしっかり押さえられており、安心して読み進めていくことができます。真心や遠藤といった脇を固めるキャラクターもきちんとキャラが立っており、物語の良いスパイスになっています。

評価コメント(2)

　ワガママで自己中心的でめんどうくさい、それでも憎めないというヒロインのバランスが実に絶妙です。鮭の切り身やライカ犬のたとえ話、読んでるこちらまでトラウマになりそうな小学校時代の思い出など、派手ではないけど印象深いエピソードをじっくり積み重ねることで厚みのある物語になっています。ヒロインや幼馴染ばかりではなく、任務中なのにビールを頼んでしまっている監視役の人など、ほんのチョイ役のキャラまでしっかり人間性が伝わってくるような細かい作りこみも高評価です。

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