第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『Savior』 鳴海樹楼


評価コメント(1)

 美しいSFでした。人殺しの術を身に付けて戦場で生きてきた少女レミングハートが、戦闘中に傷を負い、一頭の虎と一人の少年科学者の下へ辿り着く。彼らと生活を共にすることで少しずつ癒されていく。筋書きとしては至って王道的ですが、そこに出てくるSFチックな小道具の数々(虎が言葉を扱うための演算装置やLIBを筆頭とする武器!)の描写が真に迫っており、ここが他の作品と一線を画す美点となっています。終盤の展開は夢物語と批判されるところもあるかもしれませんが、しっかりとした科学的な説明で地固めしてあるおかげで、不思議なほどに説得力がありました。

評価コメント(2)

 手に汗握らせるスピード感と重さのあるアクション描写で引き込まれ、綿密に作り込まれた設定に唸らされ、叙情深い人間ドラマに泣かされました! この完成度の高さに加え、きちんと完結しているのに「この後いったいどうなったんだろう?」という余韻を引っぱらせてしまう読後感の良さも素晴らしい! 確かな作家性と筆力を感じました。


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