第5回『このラノ』大賞 1次選考通過作品詳細

『雷獣使いの泥食い王子』 高安フレンジィ

 ハイバンデ国第三王子のルトガーは、国王や継母である王妃から疎まれ、謀略によって国王を暗殺しようとした冤罪を着せられて処刑されそうになる。知恵をしぼってどうにか脱出し、無罪を勝ち取るが、今度は辺境である封土の領主をまかされる。赤貧で反乱も多い封土の赴任は前途多難だが……。

評価コメント

 序盤でいきなり泥を食べるというシーンから入って、読者の興味を惹くことに成功しています。それが単なる一演出で終わらず、きちんと後の展開へと繋がっていくあたりがうまい。王子をなんでもできる無敵の存在にせず、他のキャラに役割分担させ、各キャラともきちんと立っています。電気を雷獣に置き換えて農作物か畜産物のような扱いをすることで、戦術ひとつとっても非常に新鮮なものとして描写できています。また、設定も雷獣に限らずいろいろとおもしろいものが多く、目を引きます(アルティザの部族の性別など)。
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