第5回『このラノ』大賞 2次選考通過作品詳細

『白雪と七人の殺し屋』 深瀬カエル


評価コメント(1)

 無能力でありながら妹を救うために、異能力者ばかりの世界で奮闘する主人公の姿を描いたバトルもの。「妹を救う」という軸はぶれることなく、次々と現れる強敵たちの心をも救っていく主人公のまっすぐさに胸打たれました。脇を固めるキャラクターはいずれもひと癖持っており、人数が多いにもかかわらずきちんと区別がつく点は高評価。登場人物のほとんどが殺し屋という殺伐とした設定ながら、適度にギャグを交えることで陰惨な雰囲気にはなっておらず、それでいて締めるところは締める、というバランスの良い作品です。

評価コメント(2)

 異能力者がひしめく世界に能力を持たないキャラが一人放り込まれたら、大抵はある種のチート能力(打消しなど)を身につけているもので、七瀬のように純粋に知恵と力だけで勝ち抜いて行くのはとても新鮮でした。もちろん、純粋に肉体能力がずば抜けているというのはそれだけでチートではあるのですが、それでも異能に頼らずに切り抜けるのは爽快です。童話の白雪姫をベースにしつつ、多彩な異能キャラを出しつつも、そのいずれもがしっかり設定された能力と過去を持っているおかげで、キャラクターを混同することもない。嫌味のない軽めの文体と立ったキャラクターでグイグイ読ませてもらいました。


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